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2023/12/04

賢く物体切り抜き・背景除去する画像マッティング(image matting)その語源

タグ:machine_learning 英語 雑学

画像マッティング(image matting)は画像中から物体・人物などの前景領域を切り抜いて背景の除去や、新しい背景との合成を  可能にする技術である。 PhotoShopなどの有名画像処理ソフトにも搭載されている機能であるのだが、日本語の解説、特に「何で切り抜きをマッティング とわざわざ呼んでいるのか?」という語源方面の話がないので調べた。

Mattingは動名詞であるが、もとの動詞はmatte、

matte [名] マット、つや消し、無光沢 [形] マットの、無光沢の [動] 艶消しする

引用元:英ナビ!辞書
というものである。「マットな仕上げ」とか「マット用紙」とかいうときのマットである。 このまま訳してしまうと「つや消しをすること」となってしまい、背景除去といった画像マッティングの意味と合わない。

マッティングの由来はマットショット (matte shot)

マッティングの由来は日本語にもなっている「マットな」という意味から直接来たわけではないようだ。 調べてみると、 マッティングの由来は映画撮影技法のマットまたはマットショット (matte shot) であることは 英語版wikipedia に書かれている。
マットショットをは背景を絵(マットペイント)として描いておいて、 別撮りした役者・小物・セットなどの前景映像を合成するという技法である。 現代においてはデジタル画像処理の"マッティング"を通して実現されるマットショット であるが、 背景合成の技法自体はデジタル画像処理が登場する以前から、露光をマスクで制御することで 実現されていたのだ。




画像:書籍「The Invisible Art: The Legends of Movie Matte Painting」より引用

マットショットの"マット"はマット板のことか?

マッティングの由来はマットショットだったのか!ということでいったん納得しそうになってしまうが、 ではそもそもマットショットはなぜ"マット"というがさらに気になり始めてしまった。 これを調べてさらにググっていくと、気になる記述に出会った。

マットペイントの前身となる技術は1800年代頃に登場しました。黒く塗られたガラスを使い、露光部分を覆い隠すことで、撮影後のフィルムに背景を合成しました。 引用元:イラスト・マンガ描き方ナビ スキルアップ講座 実写映画で活躍する技術!マットペイント入門

なるほど、マット (つや消し) の塗料やガラスを背景作成のために画材として使っていたということならこの背景作成法が 「マットペイント」と呼ばれていたことは自然である。つやつやのガラスに描いてしまうと、あるいはテカりのある塗料で塗ってしまうと ボードの反射光が映って合成がばれてしまうからだ。
ただしこれがマッティングの裏付ける直接的な資料は見つからなかった。 誰がこれの技法をマットペイントと呼びだした人に聞かない限りは実際のところはわからないだろう。

まとめ

以上の語法の変遷は
  • マット(matte)とは第一義的には「くすんだ・つやのない」という意味
  • つや消し透明板に背景をトレースしつつ描き足しすること・またそうして作られた背景絵が「マットペインティング」と映画業界で呼ばれだした
  • 合わせてマットペインティングを利用して役者などの前景を合成する撮影技法は「マットショット」と呼ばれた
  • 転じてデジタル画像処理において背景合成のために切り抜くこと自体を「マッティング」と呼びだした
という流れだと想像できる。
しかし確かにこれが語源である断言できるような強い資料は見当たらなかった。情報提供を求む。


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